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胃腸は思い悩むもの|感情に関係があった!【胃腸障害】

胃腸障害というと、機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群が現代で話題になっています。検査で分からない原因は、漢方的な診方をすると気が付くことがあるかもしれません。

胃腸障害の診断名

機能性ディスペプシア

胃腸障害とくくる中でも、現代らしい疾病として挙げるなら《機能性ディスペプシア》でしょう。

いつまでも胃の中に食べ物が停滞して詰まっているような胃もたれ、
少ししか食べていないのにお腹いっぱいになってしまう、みぞおちあたりがいたい、
胃から逆流してくる感覚、げっぷなどの症状です。

検査をしても炎症や潰瘍などの異常が見つからず、胃が正常にはたらかない原因は複数が混在しているとみられ、症状も人それぞれであることが特徴です。

以前は自律神経失調症として認識されていました。



過敏性腸症候群

腸に炎症などの異常がないにも関わらず、腹痛や下痢・便秘などの便通異常が長期にわたって起こる状態を、過敏性腸症候群といいます。日本人に10人に1人が患っていると言われています。


なりやすいのは、よく気が利く方、真面目な方、感情表現が苦手な方、20代女性の方、30~40代の働き盛りの方です。


ストレスによって、腸の活動が過剰になっているパターンが主に考えられます。

ストレスは社会生活をしているうえで避けられるものではないのですが、
環境・性格・生活習慣・暴飲暴食・睡眠の質によってより顕著に表れてきます。

ストレスホルモンによる影響で腸内細菌の状態までも変化してしまい、腸の運動が過敏で過剰になり、自律神経のバランスまでも崩れていきます。


摂取した食物はすべて腸を通って校門へ送られるのですが、ストレスを受けると脳へ信号が送られ、腸の動きをコントロールしてしまいます
すると、腸のぜん動運動に異常が生じて下痢、便秘、膨満感などの症状にあらわれます。


何でも「ストレスが原因」といわれると八方ふさがりに感じてしまいますが、ストレスは気のせいでも気の持ちようでもありません。

このあたりの話は、漢方の東洋医学の基礎のところへ通じます。




現代医学的な診方

「どこかが痛い」と感じると、痛み止めを飲むものと思っていますよね。

その薬が痛みをよけいに引き起こすのだとしたらどうでしょうか。


痛み止めの影響

NSAIDs(エヌセイズ)呼ばれる、抗炎症や解熱鎮痛薬のチームがあります。
非ステロイド系抗炎症薬のことで、ドラッグストアなどで手軽に購入できる薬です。

プロスタグランジンなどの痛みの原因になる物質の生成を防ぐことによって、炎症が起こっている患部を抗炎症・解熱鎮痛させる作用をもちます。


--アスピリン、ロキソプロフェン、イブプロフェン、ジクロフェナク、インドメタシン、エテンザミド--
この6つの成分のことを指しますが、頭痛薬や生理痛の痛み止めとして売られていたり、
商品名に含まれているので、店頭や広告で見たことがある方も多いのではないでしょうか。



このNSAIDsの服用で、比較的起こりやすい副作用に胃潰瘍や胃腸障害があります。
処方箋の調剤になると、そうした副作用を発症しづらくするために胃を保護するはたらきを助ける薬を一緒に処方されることが多いです。

用法用量を守ることは当然のこと、長期的な服用は胃の負担になり、副作用は生じやすくなってしまいます。

頭痛、関節痛、生理痛で飲む方も多いと思いますが、薬のせいで症状がよけいに増えてしまい、また薬を飲むことになってしまうのは本末転倒です。


副作用の仕組み

プロスタグランジンは痛みの元になる物質ですが、本来は胃酸分泌を調整したり、胃粘膜の保護するはたらきがあります。

NSAIDsによってプロスタグランジン生産が抑えると、熱を下げたり、痛みを和らげる一方で、
胃酸分泌が増え、胃粘膜の保護機能が低下してしまうため、胃が傷ついて結果として胃の調子が悪くなることが起きるわけです。


副作用は、腎機能にも及びます。

【胃腸障害】
胃の粘液の分泌が減ってしまうことで、血流が悪くなり、胃粘膜を保護が低下し、正常なはたらきが阻害されます。
その結果、胃粘膜が胃酸に侵されて胃腸障害を引き起こします。胃や十二指腸だけでなく、小腸や大腸にも粘膜にも炎症などを起こすことが明らかになっています。

【腎機能障害】
炎症物質の生成を抑制する作用と同時に、血管を収縮させる作用もあるため、腎臓に流れ込む血液量が減少し腎臓のはたらきが低下する恐れがあります。
特に、高齢者は動脈硬化が進んでいると、腎臓の血流が少なくなった時に、一気に腎障害が進む恐れがあるので十分な注意が必要です。




花粉症に乳酸菌?

花粉症をはじめとした、生体内のアレルギー反応は人間の身体に備わっている防御反応です。

有害な細菌などを異物として排除する仕組みが過剰に反応してしまうと、本来は排除の必要がない花粉などにも反応してしまい、排除のための現象である鼻水、くしゃみ、目のかゆみなどが止まらなくなる・・・というのが花粉症。


花粉症の薬は胃腸障害に関係があります。

花粉症はヒスタミンという物質によって症状が出ているので、抗ヒスタミン薬を用います。
ヒスタミンは痛みの原因であるプロスタグランジンのように、胃酸の生成をに関わっているため、抑制されると、胃腸の状態が崩れしまい、胃痛や消化吸収に影響が出るわけです。

食欲や、便秘、下痢にの症状があらわれるかもしれませんし、胃腸症状や頭痛、眠気、さらに倦怠感が現れるものです。
いずれにしても処方される際は医師に確認してみましょう。


それならば、腸内環境を整えて過剰反応しないようにしよう、というのが乳酸菌です。

抑制リンパ球というのがはたらくことでバランスが取れているために、その産生にかかわる腸内細菌を摂取しようと乳酸菌飲料が勧められています。





漢方の診方【肝】

脾・肺・腎・肝・心を五臓と呼びます。
解剖学的な物質としての臓器のとらえ方とは異なり、より概念的でそのはたらきを表す言葉です。

この5つは支えあっていますが、体が受けたものが要因となって弱ったり、お互いを攻撃します。

いろいろなものがこの5つにそれぞれ結びつきがあるものとして分類されていますが、その中に感情があります。

内臓と感情につながりがあることは、漢方の世界では当たり前なのです。


肝の昂ぶり

胃腸の機能に深く関わるのはひとつは【肝】です。

体が受けたり、体内に入ってくるすべてものを代謝して流していく場所。食べ物も、ストレスも、情報社会による大量の情報もすべてです。また、自律神経系のはたらきに近い場所です。

肝の感情は【怒】です。

ストレスが積み重なって、長期的に耐える人ほど、感情が怒りとして溜まっています。
憤怒というように、憤りは上部へあがります。
肝が高ぶると頭に血が上ってカーッとなり興奮状態になるイメージをもってください。

すべての臓はつながっているので、肝が昂って怒りが大きくなると脾を攻撃します。







肝犯脾

【怒】は、普段の生活で少しずつ溜まっていきストレスとして体のはたらきを滞らせてしまいます。
仕事が思うようにいかなかったり、家庭環境、人間関係、お金や健康の悩み、さまざまです。

肝のはたらきが滞ると、自律神経系が乱れ、睡眠や体温調節や生殖器系などに影響が生じます。

胃腸に不調が出ているならば、肝が滞った影響で脾胃の機能を失調していると診ます。


脾胃にでる症状としては、食欲不振や逆に食欲旺盛になったり、ぜん動運動が阻害されてしまうので機能性ディスペプシアなどの胃腸障害が生じる原因になります。

ストレスの増加や緊張の持続により悪化しますが、肝の鬱滞を取り除き、スムーズに巡るようにする漢方で改善していきます。


漢方の診方【脾】

脾胃の正常なはたらきは副交感神経が優位な時に行われます。

ですが、肝が受け取るストレスが過多の状態にでは交感神経が優位になって胃の血流が低下し、胃粘膜を保護する粘液の分泌も低下したまま、副交感神経へ伝達されます。

したがって、本来はリラックスした状態でする消化が進まずにお腹が張ったり、胃酸の分泌によって痛みで胃炎になったり、食欲不振となるのです。


思い煩う

胃腸というのは脾にあたり、【思】という感情にあたります。
思い煩う、思い悩むといった意味です。

簡単にいうと、緊張して胃が痛くなるのはそればかりを“思う”せいです。

脾は、消化吸収をつかさどり、気血(エネルギーや栄養)の源を生成して全身へ送ります。

正常であれば、飲食物から生成したエネルギーを全身に補うことができて、心身の疲労回復や改善へとつながりますが、脾気不足の症状はいくつか考えられ、胃腸障害を引き起こすきっかけに考えられます。


脾気不足

胃腸が丈夫でないタイプ。

もともと消化器系の機能が弱いために、胃もたれ、心窩部の膨満感などになりやすい人です。
加齢、過労、生活の不摂生、慢性疾患も原因になります。

もしくは、肝のせいで脾胃のはたらきが失調しているかもしれません。

漢方薬で脾気を補うことにより、胃腸障害の治療を進めます。


たとえば、早期飽満感はありませんか?
体には血液も含めて水が全身くまなく十分に必要です。飲食物の消化をするにも、胃の中が十分に潤っている必要があります。

胃の水分を胃陰といいますが、これが不足すると表面がガサガサしてなめらかに物が流れていかないような状態になり、飲食物の消化が十分に進みません。
空腹を感じても「食べたい」という気が起きなかったり、食べられない状態になります。




暴飲暴食による湿熱

自分の脾胃の能力を超えた消化能力が必要になる場合、腹八分目を超える場合は、暴飲暴食です。

食べるものの影響が特に大きいのは、脂っこいもの、刺激物、味の濃いもの、生もの、お酒、甘いお菓子などです。

分かりやすく膨満感や吐き気がある時もありますが、食べ過ぎは【湿熱】を生み、正常にはたらくことができない環境になってしまっている状態です。
日常的な摂取や、年末年始の食べ過ぎなど一時的なことでも起こり得ます。


湿熱とは、体内で過剰な湿邪と熱邪が結合したもの

梅雨や真夏を思い浮かべてください。じめじめした湿気とうだるような気温の高さがある日は外で活動する気になれないですよね。
エアコンの除湿でスッキリするように、体の中も換気が必要になります。
湿熱を除去して、脾胃のエネルギーを盛り立てるような漢方を用います。


同じく暴飲暴食でも、胃が冷えて脾胃の機能が失調しているケースもあります。

ビールや冷たい飲食物のせいで胃が冷えている場合、胃痛や胸やけが生じていることでしょう。胃の機能が固まっているので食事も美味しくないかもしれません。

寒い冬に冷えて動きが悪くなるように、冷えている場合は温める漢方で改善していきます。


病院に行くほどじゃない

どこかに思い当たる節がありませんか?
病院に行くほどじゃないけど、なんかおかしい・・・というときこそ漢方の出番です。

消化器系やエネルギーを作って全身へ運ぶ機能をもつ脾と、自律神経系と深い関係にある肝の関係性に、機能性ディスペプシアや胃腸障害の原因の根本がある、というのが漢方の考え方です。

したがって漢方では、五臓の肝や脾の機能を元に戻すようにしていく治療方法で、西洋的な現代医学とはアプローチが異なります。


食生活を含めたライフスタイルを気を着けつつ、自分の機嫌をとったり、明るくポジティブな方へ転換すること、ストレスの発散といった養生がまずは大切です。


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【草漢堂グループ】愛知県内に4店舗ある漢方薬局。
「体の元から健康に」をモットーに漢方の良さ、自然の力をたくさんの方に知ってもらいたい、体感してもらいたい。
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