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自分のケアを忘れずに、赤ちゃんとの生活をスタートする

交通事故全治一か月と表現される出産。数十年たってから「出産のときから体のバランスがおかしい」と相談される方もいます。避けられない変化を少しでも自分のために、息抜きができるように、調べておきましょう。

思ってた以上だった産後の肥立ち

肉体的ダメージはもちろんありますが、いままでの生活と異なる”赤ちゃんとの生活”という精神的なギャップを受ける方は多いです。

さまざまな情報がある現代で、明らかな正解がないと言われる中で奮闘するのは、体も心も消耗してしまいます。

肉体的変化

産後はエストロゲンの分泌量が減少し、関節や腱の周辺がむくんできます。

加えて、産後は赤ちゃんの抱っこや授乳動作といった、手首に負担がかかる動作が増えるため、腱鞘炎が起こりやすくなっています。
「初産腱鞘炎」と言われているように、特に抱っこに慣れていない、初産の方に腱鞘炎は多くなっています。


そのほかに、恥骨の痛み、骨盤底筋のゆるみによる尿漏れ、
産前からの姿勢の崩れの影響であちこち痛みが出るなど。

お産で骨盤が押し広げられ、産後は骨盤が不安定な状態に。骨盤ベルトなどで骨盤を締め、徐々に戻していきましょう。


さらに子宮の脱落膜などが混ざった「悪露 おろ」という分泌物が出ることがあります。

ただ、中には量が増え続けたり、血の塊がたくさん出たりするなど、
トラブルの可能性が高そうなときな病院へ。



ホルモンバランス

妊娠中はホルモンの分泌により、炎症を抑える作用を持つホルモンが多量に分泌されるのですが、
産後に急減して関節の炎症が起こり痛みが出てきてしまうケースがあります。

一時的な痛みならば、産後に生理が始まるとホルモンのバランスが安定し痛みが落ち着いてくれるケースがあります。


ホルモンバランスの変化は、心身の変化と症状に直結し、
疲れやすい、立ちくらみ、一時的な聞こえにくさ、集中力の低下、睡眠不足などを感じることがあります。

ホルモンのバランスが崩れることで自律神経がうまく働くことができなくなり、様々な心身の不調に繋がるとされています。
さらには、やむえないこともありますが、育児によるストレスやまとまった睡眠が取れなくなってしまうことも大きな要因です。


産前からの影響

産前はお腹に赤ちゃんがいるため、荷重が前にかかりやすくなっています。
体の軸がぶれて反り腰になり、腰痛など痛みが起き、そのせいで内臓の位置が悪くなり、食欲やつわりで臓器のはたらきに不調が起きます。

お腹が大きくなっていき、妊娠中は体重も増加するため、膝や股関節を痛めやすい状態になります。


腰部やお尻の緊張によって、坐骨神経痛を起こす場合があります。
お尻から太もも、すね、ふくらはぎ、足裏の痛みやしびれがみられたり。

産後は妊娠中からの腰痛が悪化し、まれに出産時に尾骨にひびが入るなどして痛みが出ることもあります。




まじめで頑張り屋のあなたへ

日本では10人に1人が産後精神的な落ち込みがあると言われています。

出産直後2~3日には約半数の方が抑うつ気分、不安感など、情緒不安定を経験し、そのあと軽減していくことがほとんどです。

ですが、産後1ケ月ほど経っても回復せず、気分の落ち込みや楽しみの喪失、
自己評価の低下不眠や食欲不振などが続くと「産後うつ」という状態に年単位に陥ります。

程度はいろいろでも、誰しも起きることで、誰しも経験者です。
自分を守るために「もう無理だ!」って周囲に共有したり助けを求めてくださいね。

原因は大きく2つ

1つ目はホルモンバランス。

出産後には、女性ホルモンの分泌は減少しもとの状態に戻ろうとしていきますが、約6~8週間ほどかかります。

女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンは出産に向けて大量に分泌され、産後急激に減少します。
これらのホルモンは抗うつ作用や抗不安作用があるため、減少すると耐性がなくなって情緒不安定に落ち込みやすくなる、といえます。


2つ目は社会的な立場と環境の変化。
赤ちゃんとの生活が中心になると、自分を取り巻く世界も景色が変わります。
産休で仕事はストップし、24時間体制で赤ちゃんと向き合い、自分の時間をとる間もなく、外出も一時的に制限されるでしょう。

約10か月の妊娠期間を終えてお疲れ様もできず、そのまま慣れないことばかり手探りの中で大量のタスクに突入です。
睡眠は精神的な安定にとても重要なのですが、どうしてもかなわないこともありますよね。
気力の低下、罪悪感、「自分を消してしまいたい…」といった気持ちになるかもしれません。


夫がなる場合も

赤ちゃんという命を守る重みで、パートナーである男性がかかる場合もあります。

妊娠中に自然と「母」になる女性に比べて、男性との温度差は生まれやすく、
急に「父親業」がはじまると戸惑う方も多いでしょう。

たとえば、里帰り出産には多くのメリットもあります。
一方で、妊娠中から産後まで長期間にわたって里帰り(別居)をすると、夫との間で育児に対する温度差が大きく広がってしまうことはリスクともいえます。

毎日の電話やメールは欠かさず、可能な範囲で夫にも実家に顔を出すように誘ってみましょう。


パートナーとのコミュニケーション

妊娠中から育児について一緒に学んでいきましょう。
どうしても夫は育児や女性のホルモンバランスについて無知です。
なので、きちんと時間をとって、妻の方から夫に対して、今はどのような状況で、何に注意しなければならないのか共有すること。
何をしてほしいのか教えることも必要でしょう。

育児に対してお互いが平等にいられるようにする工夫し、
2人で準備をしてシミュレーションすることで、産後の不安がなど精神的負担の軽減にもつながります。

そうすることで、夫婦の関係性の崩壊の予防にもなります。
育児に対する温度差や向き合い方、生活リズムのずれ、経済的な問題など、起きうる温度差は多岐にわたります。
男性の浮気が多いのは出産前後ともいわれていますし、コミュニケーションは密にするに越したことないですね。


頼りたい先はここ

産後の肥立ち、産褥期といいます。
産後1か月~2か月な休養が大切です。

体の立て直し、心のサポート、生活のフォロー。

最近では、頼れるご両親が近くにいることで手伝ってもらう方法、
パートナーと計画的に連携する方法、
すぐ仕事復帰する方は乳児保育に預けるなど、育児を進める方法はいくつもあります。

出産前にしっかり決めておいて、産後は自分のことを大切にすることを忘れずにしてください。

漢方の頼り方

出産という大イベントを超えたあとは、命の源である精気を蔵する「腎」と「気血」の量や流れ方を注視します。

エネルギーを使い果たして、体力消耗のの状態は「虚労」という診たてです。


まず考えるのは、気血の材料を入れる事。
もちろん飲食物も代謝され消化吸収されると気血が作られるのですが、より直接的に作られるような処方を用います。

妊娠、出産、授乳によって失われた気血を補い、滞りをほぐして巡らせる。
子宮や恥骨や関節痛など、痛みがあれば、痛みの原因になる詰まりを取り除くことも考えながら処方を決めていきます。


そして同時に、ホルモンバランスの乱れを整えていくための補腎をします。
体の母となる部分がしっかりしていないと、エネルギーの材料になるものが入ってきても、
それを代謝したり溜めたり回復させていくことができません。


時に「産後うつ」のような精神的な症状がある場合、落ち着きがないくらい不安感に襲われたり、イライラしっぱなしなら、
気の流れをスムーズに処理していく処方を同時に選んでいきます。


対症療法的な西洋薬では抗不安薬や栄養指導などになりますが、漢方薬は体の弱りや不安定さはつながりがあると考えてオーダーメイドに考えます。
その他、十人十色な症状に対応できるので、ぜひ漢方専門の薬局・薬店を訪ねてください。




産後ケアの文化

日本の出産環境は海外と比べて高水準で、医療がしっかりしているため母体が亡くなるなどの確率は低いです。

出産前後の日数は日本が平均7日前後、国によっては1~2日などバラバラです。

ただし、「産後の肥立ち」と呼ばれる産後1~2か月の産褥期のケア環境は海外の方が整っています。


「赤ちゃんが元気なら大丈夫。あとはお母さんもゆっくりやすみなさい。」

産後ケア専門のホテルでは、24時間体制でお母さんが看護師さんを頼れて、赤ちゃんを預けることができたり、産後の体の回復をサポートしてくれます。

韓国や台湾では、専門の施設が一般的になってきており利用者が多くなっているようです。

他の国では「ナニー」「ドゥーラ」という、訪問や住み込みで長期的に赤ちゃんとお母さんのケアをする専門職があります。
中長期的に、赤ちゃんと生活しながら食事や子育てのサポートを教えてくれる環境は、日本ではまだまだ認知度が低く浸透していません。

その国に合わせた子育て支援の形があり、文化的社会的背景から「子育て支援を受けることは当たり前」と考えられるようになっています。

サービスを考えると妥当ではありますが、高級ホテルくらいの金額がするのも事実です。

ただ、男女ともに社会に参加し、仕事している日本では、経済的な助成金だけでなく、
子育てをするお母さんと家族のスタートをいたわる環境がもっと整ってくる必要があると思います。





産後の影響を受け流すには?

男性側は「産後の恨みは一生」なんてことにならないように、「手伝い」ではなく「やる」意識になるといいですね。
女性側は過度な期待はしないように、「そんなこともある」「気にしない」「受け流す」といった割り切りも大切です。

肉体的なダメージを軽減するには、妊娠中からウォーキングを意識したり、ストレッチをするなど自分で努力していくしかありません。

産後うつや、精神的なギャップに苦しむのは、普段からPMS、鎮痛剤を必要とする生理痛などの症状がある人が多いと言われており、
そもそも女性ホルモンの変動の影響を受けやすい人です。

また、過去にうつ病の病歴や、妊娠中の不安が強い人も産後うつを発症する可能性が高いといわれています。
産前から睡眠を安定して取るようにするなど、考えながら工夫しながらいきましょう。

妊娠中でも服用できる漢方薬はありますので、先に心の安定を確保して、気血を蓄えて充分にしておく方法はおすすめします。


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【草漢堂グループ】愛知県内に4店舗ある漢方薬局。
「体の元から健康に」をモットーに漢方の良さ、自然の力をたくさんの方に知ってもらいたい、体感してもらいたい。
お客様一人ひとりの体質やその時の季節に合わせたあなただけのオリジナルを実感してください。
草漢堂グループHP