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不安の感情は誰しも持っているもの【不安症・HSP、漢方の対応】

「不安症」と括られてもさまざまなパターンがあります。

そして女性だけでなく男性にも多いことが分かってきています。

とても似た症状であるHSPの解説と、漢方薬の例をご紹介します。

そもそも「不安」とは?

そもそも「不安」とは?
そもそも「不安」というものは正常な反応です。

不安は恐怖に根ざしており、生きのびるための重要な機能として働いています。
なので本来、脅威や精神的ストレスに対する正常な反応なんです。

誰もが普通に経験する神経質、心配、困惑の感情。


“ほどよい緊張感”などの
ある程度の不安感はその人のパフォーマンスを、良い方向へ向かわせるという理論も提唱されています。

しかし、強すぎる不安は人間のパフォーマンスを低下させます。

「不安症」って何?

「不安」という感情が限度を超えてしまい、行動や心理的に障害がでるほど影響されている状態を「不安症」といいます。


もともとは不安障害という診断名でしたが、”障害”という印象を取り除き、2014年以降は馴染みやすい「不安症」となりました。
こうした変更は「統合失調症」や「認知症」「うつ病」と同様です。

出典:日本不安症学会




はじまりは、避けたいと思うような場面での不安感や恐怖かもしれません。

それがより強い大きな不安になっていき、通常危険ではない日常生活の中ですら感じてしまうようになります。


強すぎる不安は人間のパフォーマンスを低下させしまい、
大きな苦痛をもたらしたり、日常生活の大きな妨げになってしまいます。

不安症は「どんなことに、どんな不安を感じて、どのような支障が出ているか」によっていくつかの病気に分けられ、
パニック症、社会不安症などに分けられます。







「不安症」にもいろいろある

「不安」にはほとんどの場合、理由があります。

「新しいクラスで友達はできるかな・・・」「新しい部署になじめるだろうか・・・」「テストの点が悪かったらどうしよう」「間違えたことを教えていたらどうしよう」「どうやって人から見られているだろう」

不安の強さは、ほとんど気づかないほど軽いものから、
息切れ、めまい、心拍数増加、震えなどが生じるものまで幅があります。

大きく分けた4つをご紹介します。


社交不安症

「上がり症」ともいわれます。

社会に出たときに起きる身の回りのことに不安や恐怖を抱きます。
そして他人に悪く評価されることへの恐怖心が根底にあります。

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会議(特に自分の報告・発表のとき)、人前で何かをする時、上司や面識のない人との会話、試験を受けるとき、仕事などの面接、評価されること、電話など
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環境が変化したタイミングなどどこかで感じたことがある、よくある不安や緊張ではないでしょうか。



要因はいくつか考えられます。

思春期の頃に、自分で自分の価値を認められなかったり自分に自信がもてなかったりすることから起きてることや、
もともとの感受性や気質、
過去に人前で恥ずかしい経験をしたことがあるなどの経験的要因、
他人の目を気にしてしまう、
人見知り、
または、遺伝的な要因が挙げられています。


思春期は、自分のことや、周囲の環境に敏感になったり、人からどう見られているかなど、
その時にどう感じてどう乗り越えていくのか、というきっかけがありそうです。

10代~20代半ばでの発症が多く、なかなか改善されないまま社会生活を送り、30代になってから受診、というケースが多くみられます。







全般不安症

大きな理由やきっかけもなく、なぜか身の回りのすべてのことが不安材料になってしまうタイプ。



「他のひとよりも心配性」や「ちょっと神経質」と思い込んでいる分
コントロールが効かなくなり、悪循環に陥っています。

ちょっとしたことに動揺したり、ソワソワして落ちつかなくなってしまったり、集中力が落ちてしまう。
神経過敏になって、心身ともに症状が出たりします。

次々に不安が出てきて、倦怠感、寝つき、寝起きに影響し、張り詰めっぱなしの神経は気を消耗し、疲れがとれません。


過剰な心配性と思っていると受診せず、中年になってから病院へ罹る方も多いようです。





パニック症

不安を超えて、恐怖という感情に支配されています。

神経質、情緒不安定、心配性な性格とも関係ありますが、
継続的にストレスにさらされている人もなりやすいです。

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突然起こる、息苦しさ、鼓動の速まり、めまい、吐き気、手のふるえ、
発汗、しびれ、手足のこわばり、
息切れや呼吸のしづらさから過呼吸になる

またこの苦しみが起きるかと思うことが不安
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時には切迫した恐怖感や「このまま死んでしまうかもしれない」と生命への脅威を感じることも。


これらは明確なきっかけがないこともあり、
周りが非現実的に感じられ、自分が自分でないように感じます。

そして、ひとりで外出することができなくなっていきます。
発作が起きたときに助けを求められないような状況を避けるようになります。

自律神経失症

心身共に症状があわられ、多岐にわたります。


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ほてり・食欲がない・朝起きるのがつらい・冷え症
イライラする・怒りっぽくなる・不安感や恐怖心におそわれる
記憶力や集中力の低下・やる気が出ない・すぐに悲しくなって落ち込む
睡眠・頭痛・微熱・耳鳴り・動悸・腰痛・生理痛・更年期障害・腹痛、下痢便秘、むくみなど
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自律神経系という内臓のはたらきを調整する機能がうまくコントロールされていないことによって引き起こされます。

自律神経には、交感神経系と副交感神経系の2つがあります。
交感神経は活動的になるアクセルの役、副交感神経はリラックスさせるブレーキ役です。

このバランスが崩れたときに、さまざまな症状が出てきます。




適応障害

ストレスが原因です。
職場や学校、家庭環境から影響を受ける人が多く、はっきりとした因子が確認できるものです。

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気分の落ち込み、涙もろさ、意欲低下などの抑うつ、
動悸、焦燥感、神経過敏、緊張、怒りなどの不安、
頭痛、倦怠感、動悸など身体からくる場合など、症状はさまざま
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ミスをしてはいけない、期待に応えなければいけないといった、
真面目・几帳面・完全主義的な性格の方がなりやすく、
社会的機能が低下します。



心理学的にいうと「HSP」?

HSPとは、1996年に心理学者のアーロン博士が定義した概念です。
5人に1人とする説や、日本人男性の約20%といわれるなど、割合は諸説あります。

出典:こころ診療所

出典:映画センシティブ




HSPと不安症は似ている部分が多いのですが、そもそもの定義が異なっているのです。
なぜならHSP心理学的な定義で、不安症は精神医学的な診断で、分類が異なります。

ですが、精神医学的にいわゆる神経症の中に入ると思われ、心療内科・精神科の立場から治療の方向を提案することは不可能ではないとされています。



High Sensitive Personは言葉の通り「生まれつき非常に繊細な人」です。

いろんなことに気が付き、人や環境を感じ取り、
生きづらさを感じるようになり、ストレスもたまる。


悪い方へ発展してしまうと、不安症やうつ病という診断になります。


「よく気が利く人」「よく気が付いてくれる人」というのは長所でもあり、
実はストレスを抱えやすく疲労をためやすい傾向にあります。



「不安症」のきっかけになりそうですが、HSPは生まれつきの特性です。
さまざまなことに敏感であることを加味するとASDやADHDと見分ける必要もあります。

HSP特有はチェック項目「DOES」があります。

HSPを見分ける「DOES」

不安症は「どんな症状がでているか」で判断しますが、HSPはDOESに基づいた定義で判断します。


1>処理の深さ(Depth of prosessing)
ものごとを深く考えていく傾向。深く考えることで、物事の本質を見抜くなどに長けているが、考えなくてもいいことまで考えてしまう。考えすぎることで行動に移しにくい。
お世辞や嘲笑がにすぐ気がつく。

2>刺激の受けやすさ(Overstimulated)
相手の言葉や振る舞いなどを、敏感に感じ取る。つまり感性豊かだが、刺激を受け続けるのは疲れやすい。ちょっとの言葉に傷ついたり、意味を考えてしまう。人ごみや騒音が苦手。芸術作品などに泣く。

3>感情的共感力の強さ(Emotional reactivity and high Empathy)
無意識に相手に共感することができ、コミュニケーションには大きな武器。ですが、相手の影響を強く受け、振り回されて消耗してしまうリスクと表裏一体。


4>刺激に敏感(Sensitibity to Subtleties)
音や匂いなど、日常のささやかな刺激に敏感で、気になりやすい。小さな音、太陽のまぶしさ、蛍光灯、人のにおいなど、日常の些細なことをしっかり味わえるのですが、集中すべき時に気が散ることも。


チェック項目は細かくあり、しっかり当てはまる必要があるようです。
お時間がある時に調べてみてくださいね。

人間の感じ方には癖がある

人間の感じ方には癖がある
人間の感情は大きく「痛み」と「快楽」で成り立っています。

嫌いなことをやらないといけなかったり、苦手な人と会わなければいけない「痛み」。

好きなことしたり、やりたいことを達成できたり、感謝をされたりする「快楽」。


できたら「快楽」だけで生活できたらいいのですが、いろんな出来事や人や物が邪魔をします。

そして「痛みを避けたい、嫌だ」という意識が働いた時。
それは実際に「痛み」を受けるより5倍のエネルギーを使うと言われています。

リフレーミングという意識

いろいろなことに気が付いたり、心配することができるのは一つの才能です。
それを「快楽」につなげられるように、言い換える練習しましょう。


それは一つの物事をいろんな角度から見ることです。
物事にはポジティブとネガティブいくつもを側面があります。


たとえば、「考えすぎてしまう」という短所は
「人が気が付かないことまでわかる」「じっくり取り組むことができる」などと言い換えれば長所に変わります。

「周囲の人の感情に流されてしまう」は、「共感力が高い」

「すぐに泣く」は、「感情豊かで共感力が高い」

「負けず嫌い」は、「一生懸命、一途」

「心配性」は、「いろいろな備えができる」


というように、言い換えてポジティブに繋げて自分を認めていきます。
そんな自分は素敵!とまでなれたら最高です。





病は気から - 漢方薬で対応する

「気」が乱れると、肉体にも影響を及ぼします。

イライラする、落ち込む、不安になる、やる気がないといった精神的なバランスが崩されるだけでなく、同時に体の機能も乱れやすくなります。

のどの異物感、腹痛、下痢、動悸、不眠、息切れ、
発汗、めまい、疲労感など不調が生じやすくなると考えられています。


心と体両方を整えることが大切です。

まずは、「不安」を取り除き、「不安」になりづらい状態に整えていきます。

西洋薬との併用も可能です。



《使われる生薬》
リュウコツ・ボレイ・サイコ・タイソウ・コウボク・キジツ・ケイシ・サンソウニン
コウブシ・モッコウなど


加えて不安で弱ってしまっている体を立て直すためには、
脾胃から補う六君子湯系、
精気を主る腎をサポートする六味丸系、
体を作っていくための四物湯系などを、その方に合わせて主に使用していきます。


四物湯系と六君子湯系に気の巡りを作る生薬を合わせた「女恵丹」を草漢堂オリジナル漢方薬として扱っています。
ぜひお試しください。






「不安」という感情に対応すること

一言で「不安症」といっても、症状の種類も、あらわれ方も、きっかけもさまざまです。


「どうしてこんなに不安なんだろう」
「こんなに緊張するのはおかしいかも」など、自問で気が付けると早く対応ができます。

病院や漢方医を訪ねることに抵抗があるかもしれませんが、
自分で診断を決めつけたりせずに頼ってください。


そして、「不安」に対して何かしようとするより、
自分が好きなことだけをする時間を作ったり、リラックスできる環境作りや、
ストレス解消をする方法を見つける方に行動するのはいかがですか?


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【草漢堂グループ】愛知県内に4店舗ある漢方薬局。
「体の元から健康に」をモットーに漢方の良さ、自然の力をたくさんの方に知ってもらいたい、体感してもらいたい。
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草漢堂グループHP