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痛み、しびれ、とれない神経痛|冷えと水分代謝に注目

年齢による弱り、姿勢の悪さによる体のズレ、冷え症、水分摂り過ぎ・・・さまざまな要因が考えられる痛み、しびれ、神経痛。気づいたときには取れずらくなっていて、長期間付き合わなくていけなくなっているでしょう。

東洋医学の視点で見ると、原因と対策わかりやすくなります。あなたのタイプはどれ?

感覚の伝達と痛み

感覚の伝達と痛み
人の感覚が正常に機能するためには、感覚受容器という機能がはたらく必要があります。
そのためには、体内や脳への血液の供給が十分であることが必須です。

体の水分は、成人で65%、老人で約50%といわれており、
振動を伝えていく水分(血液含む)が減ってしまっては、確かに遠くまで波(信号、刺激)を届けられない、といえるでしょう。

感覚が刺激として届く仕組みは、皮膚で刺激をキャッチし、脊髄や背骨の椎骨の間をくぐって進み、脊髄へ届ける感覚神経の道をたどります。
脊髄から脳幹へ上行する信号を受け取って解釈する大脳の部位へ届くことで、「痛い」と認識します。


関節痛

腰、膝、肘、手首、肩などの関節痛。
年齢を経るにつれて「仕方ない」と思う方も多いかもしれません。

関節は骨と骨の間にあって靭帯や軟骨、髄液などから構成されており、それらが正常な量で正常なはたらきをするおかげで可動域を保っています。


痛みは、軟骨がすり減ったことによる炎症だと、よく耳にするでしょう。
原因としては、年齢、肥満、姿勢のゆがみが要因として考えられます。

さらに、関節の表面を覆い、衝撃を和らげたり、関節の動きを滑らかにする軟骨がすり減ることがあると、関節が変形にすることもあります。


急性症状の場合、ウイルス感染症などが原因となります。インフルエンザで全身が痛い、という症状を経験した方もいるのではないでしょうか。

逆に、複数個所で慢性的な関節痛が起きている場合、疾患の疑いがあります。
例えば関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデスなど、疑わしいときは病院へ罹ってください。

神経痛

神経痛は、その神経に何らかの刺激が加わることで、「しびれ」としてあらわれます。

感覚が部分的または完全に消失した状態のこと。
伝達の機能不全で触覚、痛み、温度、振動を感じられず、体の一部がどこにあるのかが分からなくなってしまいます。

また、末梢神経が刺激されて起こる痛みでは、原因がハッキリしている時と原因が分からない特発性に分かれます。


たとえば、正座をして「しびれた」とき、脚の感覚を失って足の指を動かせなかったり、立てなかったりしますよね。
これは末梢神経が圧迫されたことで、感覚異常ともいい、脳に皮膚などからの感覚を伝える「感覚神経」の経路の障害されたことによるものです。


診断されるものとして、坐骨神経痛、椎間板ヘルニア、三叉神経痛、腰部変形性脊椎症などが挙げられ、骨の変形、神経周囲の炎症、外傷などが証明されます。

漢方の視点からいうと?

関節に痛みがある病態を中医学では痺症(ひしょう)といいます。

四肢経絡がさまざまな外因によって塞がれてしまい、
気血水が巡らず、経絡が詰まってしまったとき。
関節痛、しびれ、麻痺、重い感じ、熱感、関節可動域の低下、姿勢のゆがみ、関節の変形をきたします。


気血水は、生命活動を支えるエネルギーや、栄養物質です。

元気の“気”として、全身へエネルギーを送って調和させるので、一箇所でも詰まると、心身共に何かしらの不調をきたし、痛みやしびれ、その他いろいろな不調としてあらわれます。

原因は「邪気」

漢方では外から体の中に入ってきて機能を妨げてしまうものを邪気と呼びます。

しびれ・関節痛の場合、風・寒・湿・熱という邪気が挙げられ、特に湿邪・寒邪に要注意です。
あなたの痛みはどれですか?

風邪タイプ

《痛みの箇所がいろんなところに移る、カゼを引いた時に発症する、複数箇所が痛い》


カゼやウイルス性感染症などの急性症状で、外部から侵入された邪気によって発症します。
頭痛がある場合もあり、比較的強めの痛みと言われます。

寒邪タイプ

《寒さによって悪化する痛み、温めると調子がいい、痛みの箇所は固定》


冷えは万病のもと。
冷えは血液の循環をはじめ体の巡りが悪くし、経絡の流れがスムーズにいかない為に、痛みとなります。
冷えて硬くなった関節は痛みになりやすいです。

寒さによる単体の原因以外に、湿邪や風邪が絡んでいることがあります。
総合的に見て全身の気血水の流れを改善し、冷えの対策をすることで症状の改善を目指しましょう。


ちなみに、“鳥肌”っていいますよね。
あれは、寒邪に侵襲され、肌肉が収引・凝滞させられたことにより、ギュッと縮こまり、ひきつった状態です。
肌表面ならともかく、同じことが関節や神経で起きてるとなると、ゾワッとしませんか?

熱邪タイプ

《関節痛やしびれ以外の症状をもっている、冷やすと調子がいい、暑い日に症状がでる、赤みがある》


赤くなったり、腫れたり、患部が熱かったりする痛みです。
患部は移動していくこともあり、局部の紅斑や皮下結節も現れたりします。

溜まってしまっている熱を取り除いていくことで楽になります。


湿邪タイプ

《寒暖にかかわらず1年中痛む、曇天や雨の日に痛みが強くなる》
《重怠い、冷える、むくみのような感じ、関節が腫れる》


「着痹」と書くように、”着いて”しまうので厄介です。


湿気・水分は体の中に溜まると水毒・痰飲といって経絡の流れを遮断してしまうせいで、筋肉・神経・皮膚の感覚が麻痺することがあります。

特に関節が重く、痛みや腫れが生じます。
痛みはそれほど強くなくても、水分が関節内に溜まると、関節が腫れます。


水を摂り過ぎないことや、むくみに気が付いたら対策すること、冷えから体を守ることで関節痛・神経痛の原因になります。





食習慣からいうと?

食事のみで改善というのはなかなか難しいでしょう。
しかし、薬に頼らず、自分の自然治癒力を生かすために、食べるものを少し意識していくことは症状の改善以外にも健康的な体に効果があります。

また、鎮痛剤は痛みを感じにくくするだけで根本的な改善にはなりません。

神経は、全身を通り、栄養や酸素などいろいろなものを運ぶ道筋。
関節は、体をスムーズに動かすために筋肉と連動する不可欠なもの。
邪魔してしまうもの食生活は少しずつ避けていきましょう。

陰陽バランスが偏っている

◆動物性たんぱく質(肉類・卵・まぐろ・鮭など)
「おいしい」食べ物に良く入っています。
動物性がすべてダメというのではなく、良質なたんぱく質としては、植物性の大豆が代表的です。加工品でOKなので豆腐、湯葉、きなこ、豆乳、納豆、など代替してみましょう。


◆酸性食品(肉類、魚介類、卵、穀類、砂糖)
陰陽というように、食材には賛成とアルカリ性の食品があります。
「おいしい」食事をしていると、野菜・大豆・きのこ・果物といったアルカリ性食品の摂取が知らぬ間におろそかになっています。

食材選びから気を付ける

◆白砂糖(甘いもの)
黒砂糖が体に良いというのを聞いたことがありますか?
ミネラル成分が精製されずそのままの黒砂糖には栄養価があり、いろんな成分が混ざっているからこそのバランスが取れています。
ですが、精製してきれいにしてしまった砂糖はそのバランスが崩れてしまっています。


◆食塩(ミネラルいっぱいの塩を選ぶこと)
海塩をおすすめします。可能であれば、釜で炊いていない完全天日干しの塩。
火が入っていないことでナトリウム以外のマグネシウムやカリウムなどがそのまま活きており、自然と体の中から排出されます。
これはあまり手に入りやすいものではないので、釜炊きの塩で十分です。テーブル塩といった精製塩は避けましょう。


◆過度の飲酒(飲み方、飲むものに注意)
酒は使いようによっては「百薬の長」。
冷え性の方には、朝イチにおちょこの日本酒を一杯飲む、という養生法があるくらいです。
しっかりとした製法で作られているお酒を、適度にたしなむのをお勧めします。


痛みを避ける食養生

◆青魚
中でも関節の炎症を抑えるはたらきがあると言われているEPAは、特にイワシ、さんま、サバなどに含まれています。

◆ナッツ類・オリーブ
植物性の油は、動物性よりも体に負担が少なく、油というように潤滑油になってくれます。
アーモンドやピーナッツなどがおすすめ。味のついていない素焼きでノンオイルを選びましょう。おやつにぴったりです。

◆はとむぎ
湿邪タイプの方は、特に取り入れてみてください。むくみがある方、水をよく飲む方の関節痛・神経痛には、利尿・利水作用のあるはとむぎ(ヨクイニン)をおすすめします。

「湿邪」で書いたように水というのは、重たく、冷たく、伝達や動きを妨げ、肉体に負担がかかってしまいます。
スムーズに流れていけばいいのですが、筋肉がこわばることで脚を攣ったり、痛みを引き起こします。
漢方でも水の巡りを改善するのによく用います。薏苡仁のタブレットや、はとむぎを焙じてあられのようになっているのは取り入れやすいですよ。


その他、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンK、鉄分、筋力のためにタンパク質、カルシウムなど、効率まで考えると挙げればきりがありません。

食養生で大切なのは、欲しい栄養素だけ摂るのではなく、どれかを意識しながらもバランスよく摂ることで栄養を摂取し、余分なものは排出し、必要なものを補う、ということを念頭に置きましょう。



早めに対応を

季節によって症状が異なる方は、その季節になる前に予防をしていくことができます。

また、年中冷え性という方はまずは冷えから改善していくことも考えましょう。
漢方薬では内側から温めて、体をスムーズに動かせるようにしていく手助けが可能です。

痛みのタイプを考えながら、年齢であきらめず健康寿命を延ばしていきましょう。


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